「物流」におけるコストと品質 [part3] 物流品質の分類と対策

2021 9/29
「物流」におけるコストと品質 [part3] 物流品質の分類と対策

著者: 船井総研ロジ株式会社 ライン統括本部 コンサルティング事業部 部長 渡辺庸介

当コラムでは物流専門のコンサルティングサービスを提供している船井総研ロジ(株)の視点で「物流品質」を向上する効果の高い取り組みを紹介させていただきます。
第1回、第2回と物流品質の向上策を取り上げました。我々が物流現場を回る中でよく見る現象に対して効果のある対策を紹介させていただきました。
第3回目は『物流品質の分類と対策』をお伝えいたします。現場で発生する品質悪化原因を分類することでその対策が絞られます。
読者の皆様の現場を客観的に見て、その対策を検討してみてください。

船井総研ロジ株式会社 ライン統括本部コンサルティンググループ 副部長 渡辺庸介

物流現場では様々な品質課題が発生しています。
それは事故やクレームとして顕在化したものから、物流現場の中で発見、是正されて担当者で処理されているもの、少しの差で表面化しなかった潜在的な物まで発生していると考えられます。ハインリッヒの法則では顕在化する重大事故1つに対して、「29の軽微な事故」と「300の潜在的な品質低下現象」が発生しているとしています。

ではその問題を分類することで客観的に検証してみましょう。
先ずは品質低下の原因は、 『労働環境に起因するもの』『人に起因するもの』 の2つに分類することができます。
品質課題をまずはその2つのどちらに起因するものかを分類してください。

『労働環境に起因するもの』の対策は下記2つに分類されます。

❶ 潜在的な労働環境問題 ⇒(対策)KY活動など現場で発生した事象の把握
❷ 顕在化された労働環境問題 ⇒(対策)5S活動による現場表示による注意喚起

『人に起因するもの』の対策は下記5つに分類されます。

❶ 違反 ⇒(対策)違反者の発見、違反に対する意識改善、標準作業徹底の指導
❷ 不器用 ⇒(対策)作業手順の見直しによる簡易化、訓練
❸ 不注意 ⇒(対策)作業手順の見直しによる品質課題の排除、注意喚起
❹ 錯覚 ⇒(対策)表示による注意喚起、標準作業手順における確認動作見直し
❺ スリップ ⇒(対策)作業手順の見直しによる品質課題の排除、注意喚起

※KY活動:過去の経験などを基に危険の発生する可能性のあるポイントを予め把握して、共有することで事故発生の抑制につなげる活動(危険予知活動)
※5S活動:仕事場を「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」の視点で見直すことで、正常と異常を見分けることができる職場を作る活動。

まとめ

「人はミスするもの」ということは大前提です。
特に「スリップ」のように考えていることと別の動作を起こすこともあり、ミスをゼロにすることは困難を極めます。
ただ、物流現場で起こる品質課題を分類して、それぞれに効果的な対策を打つことでミスを逓減することは可能です。

上記に加え、品質を向上するために効果的な活動が「KPI(key performance indicator)重要業績評価指標」「SLA (Service Level Agreement)サービスレベルについての合意書」の導入です。品質とそれを作る活動過程を数値化することで、取り組みに対しての目標設定と評価が可能になります。
対策検討と合わせて取り組んでください。

船井総研ロジでは、物流品質及びコストのマネジメントできる人材育成を目的に
「FUNAIオープンカレッジ」を毎月開催しています。

物流ノウハウの向上に興味のある方は今すぐこちらをクリックしてください
(船井総研ロジ:物流オープンカレッジページへ移動します)

“物流の杜”である「Funai物流オープンカレッジ」では、
「ナレッジ」(知識・理論)と「時流」(最新手法、市場価格)をコンセプトに
物流でお悩みの皆様へ解決策となる内容を物流コンサルタントがお伝えしています。

選べる受講スタイル(全講座を受講/興味のある講座のみ受講)で、受講者・受講講座が自由に選べるなど、忙しい会社員を応援しています。

イメージ
船井総研ロジ株式会社

500社を超える顧客とのお取引で培ってきたロジスティクス・コンサルティングという「専門性」と、その具現化を担保する「実行力」を掛け合わすことで、結果として顧客に「成果」という実効性をもって貢献できる「新たな3PL業態」として、顧客の物流・ロジスティクスのサポートを行なっています。

当社は①物流コンサルタント②情報システム事業者③3PL事業者④専門商社の4つの顔を持ち、いずれの顔においても、顧客とともに「目指すべき姿」に到達するべくPDCAサイクルを確実に実行していくことで成果を担保します。

また、船井総研ホールディングス傘下各社のネットワークを最大限活用し、グループ全体として有する豊富なノウハウ、顧客、業種業界×テーマ専門のコンサルタント、海外ネットワーク、オペレーションネットワーク等を駆使して、顧客一社一社に対してベストな解決策と実行プランをご提供することが当社の強みです。