「物流」におけるコストと品質 [part4] 品質管理パトロール

2021 9/29
「物流」におけるコストと品質 [part4] 品質管理パトロール

著者: 船井総研ロジ株式会社 ライン統括本部 コンサルティング事業部 部長 渡辺庸介

当コラムでは物流専門のコンサルティングサービスを提供している船井総研ロジ(株)の視点で「物流品質」を向上する効果の高い取り組みを紹介させていただきます。第3回目の『物流品質の分類と対策』では物流現場で発生する品質悪化原因の分類をお伝え致しました。
今回は品質意識を維持するための管理者パトロールについてお伝えします。

船井総研ロジ株式会社 ライン統括本部コンサルティンググループ 副部長 渡辺庸介

皆様の物流現場でも作業担当者に対する注意喚起に取り組まれていることと思います。しかし、「品質問題はなかなか抑制できない」または「良い状態を維持することが困難」という感覚をお持ちではないでしょうか?我々もコンサルティングの現場で同様のご相談をいただくことが多数あります。

これは注意喚起が形骸化し、作業者の品質に対する意識が低下していることが原因と考えられます。
管理者の方々が広く全体に注意を喚起しても、作業者に響く賞味期限は短いものです。

我々が考える最も効果的な活動は「品質管理パトロール」です。
時間を決めるのでなく、管理者が毎日現場を回り、目がついた動きや状態があればその場で作業者に直接注意することです。

パトロールのコツは次の5つです。

1. 毎日実施すること

管理者が毎日現場を巡回している現場と巡回を実施しない現場を比較すると、5S、作業品質、挨拶、モラルの面で各段位違いがあります。
見られているという意識は現場を引き締めます。

2. 時間を決めないこと(抜き打ち)

巡回の時間が決まると作業者もそれに合わせた心構え(形骸化)になります。
巡回時間を意識的に変えることで、いつ必要になるかわからない備えが必要になり、緊張(品質に対する配慮)が持続されることになります。

3. 目についた品質悪化につながる動作及び状況はその場で注意すること

品質悪化につながる動作(異常)は発生しているその場で指摘することで、実体験としてより具体的に指導することができます。
また、品質悪化は『人による偏り』もその要因として挙げられます。品質に対する一定の意識を持ち続けることができる人とそうでない人の見分けはなかなか見えづらいものですが、現場で発生しているその場で指摘することで明らかになります。

4. 作業者の切り替わりポイントに注目すること(トラックからの荷降し業務、ピッキングから検品へ切り替わる部分など)

品質悪化動作の発生は作業者が切り替わる部分で起こる傾向があります。
作業者が切り替わることで「責任」も切り替わりますが、業務が流れている中ではそのポイントも不明瞭になりがちです。
また、作業者が切り替わるポイントは前工程と後工程で作業スピードに差が出るため、作業者の焦りなどが品質に対する意識低下につながることもその要因として挙げられます。例えば、保管時には積み上げ制限を守られている現場でも、トラックから荷卸しして仮置きする場面でそれが守られていないような状態がそれにあたります。

5. 品質に配慮した業務ルールが守られている時は褒めること

パトロールで悪い部分ばかりを指摘していると、現場作業者は緊張が続き継続が難しくなります。その結果、管理者との関係が悪化することもあり得ます。
ルールを守ったよい作業は言葉に出して、その場で褒めてください。そうすることで作業者の緊張と緩和のバランスも取れ、品質に対する意識の継続だけでなく、作業者と管理者の良好な関係構築にもつながります。作業者の中でもやってよいことと悪いことも明確になります。

読者の皆様が感じられたとおり、今回挙げた施策に特別なものはありません。
やるべきことをいかに効果的にやり続けるかが重要といえます。品質悪化にお悩みの皆様の明日からの活動に少しでも参考になりますと幸いです。

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