物流リスクマネジメントの基本と方法:2024年問題以降の実務10ステップ【やさしく解説】 物流リスクマネジメントの基本と方法:2024年問題以降の実務10ステップ【やさしく解説】│輸送品質.COM

物流リスクマネジメントの基本と方法:2024年問題以降の実務10ステップ【やさしく解説】

2025 10/30
物流リスクマネジメントの基本と方法:2024年問題以降の実務10ステップ【やさしく解説】
物流リスクマネジメントの概要を表すイメージ

物流リスクマネジメントの基本と方法:2024年問題以降の実務10ステップ【やさしく解説】

物流の主要リスクと回避策、BCPの要点、実務10ステップをやさしく解説します。

「貨物が破損してクレーム対応に追われた」
「大雨でトラックが動かず、納品が大幅に遅延した」
「倉庫のシステム障害で、丸一日出荷が完全に止まってしまった」

――現場の小さなほころびがサプライチェーン全体に波及し、売上・信頼・コストへ深刻な影響を与える時代です。

本記事は、物流リスクマネジメントの基本から、優先順位の付け方、RTO/RPOを核にしたBCP設計、現場で使えるチェックリストまで、実務に直結する内容をまとめました。

目次

物流リスクマネジメントの基本と重要性

物流リスクをヒートマップで可視化する図
気象条件や輸送経路などのリスクをデータで見える化。

定義

物流リスクマネジメントは、事故・自然災害・人材不足・システム障害などのリスクを特定→評価→対策→訓練→見直しで継続管理し、BCPを実現する取り組みです。核となるのはRTO(目標復旧時間)とRPO(目標復旧時点)の設計です。

現状の背景と重要性

2024年問題やサイバー脅威、災害の激甚化など複合リスクが同時多発し得るため、連鎖を断ち切る総合マネジメント体制が必須です。

想定すべき主要リスクと優先度の付け方

サプライチェーン全体のリスクを分類・可視化する図
重要度×影響度で優先度を決め、段階的に対策。

主要リスク一覧(例)

  • 自然災害:道路寸断、停電、浸水、輸送停止・遅延
  • 事故・破損:衝撃・傾き、温湿度管理不備
  • サイバー/システム障害:ランサムウェア、WMS/TMS/EDI障害
  • 人材関連:ドライバー不足、属人化
  • 国際物流特有:港湾混雑、通関、地政学リスク
  • コンプライアンス/保険:契約不備、SLA未定義、補償誤認

優先度づけ:リスクマトリックスの活用

「発生確率」と「影響度」の2軸で評価し、高影響×高確率から対策を実装します。

対策の具体的方法:実践10ステップ(1〜5)

STEP1|現状把握(As-Is)

輸送経路・倉庫設備・情報システム・委託先体制/契約を棚卸し。

STEP2|リスク特定

客観データを根拠に潜在リスクを洗い出し。

STEP3|影響分析

停止時間×粗利等で定量評価+ブランド毀損等の定性評価。

STEP4|優先順位付け

マトリクスで合意形成。経営層を巻き込む。

STEP5|RTO/RPOの設定

重要業務ごとに復旧時間と復旧時点を数値で定義。

対策の具体的方法:実践10ステップ(6〜10)

STEP6|代替策の設計

代替ルート、モーダルシフト、共同配送、緊急在庫。

STEP7|システム&サイバー対策

ネットワーク分離、MFA、遠隔バックアップ、復元演習。

STEP8|教育・訓練

初動手順の演習、現場トレーニングを定期化。

STEP9|契約・保険の見直し

免責/対象外の明確化、補償範囲とBCPの整合。

STEP10|モニタリング&見直し

KPIで継続監視し、環境変化に合わせ改善。

ケーススタディ(失敗からの学び/成功の再現)

最適化された物流ネットワークの成功イメージ
IT連携と現場改善で安定稼働を実現。

事例A|ガラス瓶商品の破損多発(製造業)

要因:微振動と傾き。対策:緩衝材見直し・手順改訂・ルート変更。結果:3か月で破損率67%低減。

事例B|大雨で倉庫が孤立(卸)

対策:気象連動の前倒し出荷、代替ヤード、共同配送。結果:台風期の遅延率が半減。

事例C|ランサムウェアでWMS停止(小売EC)

対策:分離・オフライン手順・復元訓練。結果:RTOを16h→6hに短縮。

よくある質問(FAQ)

Q1. まず何から始めれば?

「現状把握→トップ5リスク特定→RTO/RPO設定」が最短。マトリクスで優先順位づけを。

Q2. 中小企業でもBCPは必要?

必要です。初動手順と代替策の整備だけでも効果大。内閣府の簡易チェックを活用。

Q3. 2024年問題の実務対応は?

標準化(パレット/データ)+共同配送+モーダルシフトの組合せが王道。

Q4. 委託先管理の深さは?

重要度で層別化し、契約の要求事項明確化とセルフチェック評価から。

Q5. 専門会社に相談できる?

可能です。客観評価や改善支援の活用は有効です。

まとめ

重要リスクは複合で発生します。マトリクスで優先度を明確にし、RTO/RPOを羅針盤に継続改善。委託先・契約・保険を含む“面”の対策と訓練が競争力につながります。

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監修者:輸送品質.COM 森松産業株式会社

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