トラック輸送で発生する振動の周波数帯と共振が起こる仕組みのイメージ。

トラック輸送の振動周波数とは?共振が起こる仕組みと対策を解説

「衝撃対策はしているのに、輸送中に製品が壊れる」——その原因は、落下のような大きな衝撃ではなく、走行中に発生し続ける振動かもしれません。当社が実施した輸送品質クレームに関するアンケートでも、破損事故の原因として「振動」は40.3%と、落下・濡れに次ぐ上位に挙がっています。

振動による破損を考えるうえで鍵になるのが「周波数」です。トラック荷台では、数Hz〜20Hz前後の比較的低い周波数成分が問題になりやすいとされており、この帯域が製品や梱包の固有振動数と重なると「共振」が起こり、揺れが大きく増幅されることがあります。一つひとつは小さな振動でも、周波数の条件がそろえば製品を壊す力に変わり得るのです。

この記事では、トラック輸送で発生する振動の周波数帯、共振が起こる仕組みと対策、そして周波数を調べる方法(PSD解析)までを解説します。

トラック輸送で発生する振動の周波数帯

そもそも周波数とは、1秒間に振動が繰り返される回数のことで、単位はHz(ヘルツ)で表します。1秒間に10回振動すれば10Hzです。

トラック荷台では、数Hz〜20Hz前後の比較的低い周波数成分が問題になりやすいとされています。ただし、実際の周波数特性は車種、サスペンション、積載量、走行速度、路面状態などによって変わります。エンジンや路面の凹凸、サスペンション(ばね)の特性など、複数の発生源が組み合わさっているためです。

また、輸送手段によっても振動の特性は異なります。鉄道輸送では、条件によって60Hz前後に振動成分が集中する例があります。トラックから鉄道へなど輸送手段を切り替える際は、荷物が受ける振動の特性そのものが変わるため、同じ梱包仕様のままでは適切に保護できないケースがある点にも注意が必要です。

トラックがなぜ・どこで揺れるのかという発生要因についてはトラック輸送の振動はなぜ起きる?主な原因と精密機器を守る対策で、輸送振動全般の種類や精密機器への影響は輸送振動とは?発生原因・種類・精密機器への影響を解説で詳しく解説しています。

輸送中の振動・衝撃対策の基本をまとめた資料「輸送破損激減ハンドブック」は、こちらから無料ダウンロードできます。

低い周波数と高い周波数で、被害の傾向が変わる

振動による被害は、周波数だけで決まるものではありません。振動の大きさ、継続時間、方向、積載状態、固定方法などが組み合わさって発生します。

一般に、比較的低い周波数の大きな揺れでは、荷物の移動や荷崩れ、積み重ねた箱への繰り返し荷重が問題になりやすくなります。一方、細かな振動が長時間続き、貨物や包装材の接触面に相対的な動きが生じると、擦れキズや印刷面の摩耗につながることがあります。

破損の症状は原因を考える手がかりにはなりますが、周波数帯を特定するには、実輸送時の加速度波形を記録して分析する必要があります。

固有振動数と共振:大きな衝撃がなくても壊れる理由

固有振動数とは

製品や梱包は、質量や剛性、支持・固定状態などによって決まる、一つ以上の「固有振動数」を持っています。固有振動数とは、その物体の揺れが大きくなりやすい周波数のことです。代表的な固有振動数は、対象物に振動を与えるハンマリング試験などで調べられます。

共振が起きると振動が大きく増幅される

輸送中の振動の周波数が、製品や梱包の固有振動数に近づくと「共振」が発生します。

共振が起こると、製品や梱包の揺れが大きく増幅される場合があります。増幅の程度は、製品・梱包の減衰特性や固定状態などによって異なります。

「落下させていないのに壊れていた」という場合、原因の一つとして共振が考えられます。共振現象そのものの仕組みは共振現象とは?輸送中に製品が壊れる仕組みと対策の考え方で詳しく解説しています。

振動の大きさを表す加速度やG値の基本についてはG値とは?何Gで壊れる?基準と衝撃の目安|加速度・重力加速度を解説で解説しています。

共振を避けるための考え方

共振対策では、輸送振動の周波数帯と、製品・梱包の固有振動数を重ねないように設計することが重要です。梱包材の選定や防振設計によって固有振動数をずらす、あるいは防振材や防振装置によって製品へ伝わる振動を低減する方法があります。精密機器の防振対策の考え方は輸送中の振動が怖い?大丈夫!プロが教える防振対策の必須知識で解説しています。

規格試験と実際の輸送のギャップ

振動試験はJISなどの規格に基づいて行われるのが一般的ですが、規格試験の条件と、実際の輸送で発生している振動の周波数には大きなギャップがある場合があります。規格をクリアした梱包仕様でも、実輸送ルート特有の振動条件にさらされれば、破損は起こり得ます。

そこで有効なのが、実際の輸送条件を把握したうえで「社内規格」をつくることです。自社の輸送ルートで実際に発生している振動の特性を基準に試験条件を設計すれば、現在の梱包が過剰か不足しているかを評価し、包装仕様や使用資材を実態に合わせて見直しやすくなります。なお、JIS Z 0232:2020(包装貨物―振動試験方法)でも、振動試験で用いる試験条件は実輸送データに基づくことが望ましいとされています。

輸送中の振動の周波数を調べる方法

実輸送における共振リスクを評価するには、主に次の2種類の情報が必要です。ひとつは製品・梱包系の固有振動数や減衰特性、もうひとつは実輸送で発生している振動の加速度波形や周波数特性です。

周波数帯の分析には「PSD解析」を使う

輸送中の振動の周波数帯を詳しく分析する場合は、加速度波形を記録できる測定器を使用し、PSD解析などを行います。PSD解析とは、加速度の強さが周波数ごとにどのように分布しているかを確認する分析方法です。どの周波数帯の振動が支配的なのかを把握できるため、包装設計や振動試験条件を検討する際の重要なデータとなります。

当社では、実輸送ルートで波形データを取得しPSD解析まで行う「ハイスペック輸送検証」を実施しています。自社ルートの周波数特性を正確に把握したい場合は、こうした検証サービスの活用が近道です。

日常の輸送品質管理には「G-MEN」を使う

一方、振動・衝撃レコーダー「G-MEN」は、一定期間内のピーク値を記録する方式です。G-MENの記録データから周波数分析やPSD解析を行うことはできません。そのかわり、輸送中に発生した振動・衝撃の大きさ(G値)、発生時刻、方向、温湿度を記録できるため、「いつ・どの方向に・どれくらいの振動や衝撃があったか」を把握する日常の輸送品質管理に適しています。記録方式の詳細はG-MENのよくある質問をご覧ください。

つまり役割分担はこうなります。共振リスクを設計段階から詰めるなら波形データとPSD解析、輸送ルートの実態把握と日常管理ならG-MEN。目的に応じて使い分けることで、梱包仕様の最適化から社内規格の策定まで、実データに基づいた判断ができるようになります。振動・衝撃・温湿度を記録できるラインアップはG-MENシリーズをご覧ください。

まとめ|共振を防ぐ第一歩は、周波数を知ること

トラック荷台では、数Hz〜20Hz前後の比較的低い周波数成分が問題になりやすいとされています。ただし実際の周波数特性は車種や積載量、路面状態などの条件によって変わり、被害の現れ方も振動の大きさ・継続時間・積載状態などの組み合わせで決まります。そして、輸送振動の周波数が製品や梱包の固有振動数と重なると共振が起こり、揺れが大きく増幅されて、大きな衝撃がなくても破損に至ることがあります。

規格試験と実輸送の振動にはギャップがある場合がある以上、対策の出発点は自社の輸送環境で発生している振動を知ることです。周波数特性の分析には加速度波形の記録とPSD解析、日常の実態把握にはG-MEN。実測データを基準にすれば、梱包仕様も社内規格も、実態に合った形で設計できます。

よくある質問(FAQ)

Q1. トラック輸送の振動の周波数はどのくらいですか?

トラック荷台では、数Hz〜20Hz前後の比較的低い周波数成分が問題になりやすいとされています。ただし、実際の周波数特性は車種、サスペンション、積載量、走行速度、路面状態などによって変わります。鉄道輸送では、条件によって60Hz前後に振動成分が集中する例があります。

Q2. 振動の周波数はどうやって調べればよいですか?

輸送中の振動の周波数帯を詳しく分析するには、加速度波形を記録できる測定器で波形データを取得し、PSD解析(加速度の強さが周波数ごとにどのように分布しているかを確認する分析)を行います。なお、G-MENなどピーク値記録型のレコーダーの記録データから周波数分析やPSD解析を行うことはできませんが、振動・衝撃の大きさや発生時刻の把握には適しています。

Q3. 共振による破損を防ぐにはどうすればよいですか?

輸送振動の周波数帯と、製品・梱包の固有振動数を重ねないように設計することが基本です。まず自社の輸送環境の振動特性を把握し、梱包材の選定や防振設計で固有振動数をずらす、あるいは防振材や防振装置によって製品へ伝わる振動を低減する対策を行います。

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