データロガー初心者がG-MENをはじめて使ってみた【体験記・計測編】

2024 1/31
データロガー初心者がG-MENをはじめて使ってみた【体験記・計測編】

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前回、データロガー初心者のスタッフが、スリック社製の衝撃・振動データロガー「G-MEN(ジーメン)」の初期設定を行なう様子をレポートしました。
続く今回は、筆者の会社から自宅まで、実際に輸送した荷物にどれくらいの衝撃がかかっていたのか、G-MENで計測。ちょっとした反省点も交えながら、計測結果をお伝えします。

前回の記事はこちら↓で確認してください。

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荷物概要

ダンボールサイズ:W310mm×D220mm×H230mm
品物:書籍10冊分 重量:約3kg

目次

荷物到着

発送から翌日、荷物が自宅に届きました。

しかし、G-MENを取り出してみると、そこには不穏な文字が表示されていました。

画面にDATAFULLの文字

G-MEN本体の画面をよく見ると、“DATAFULL”の文字が点滅。ここで、G-MENの記録容量が最大に達したのだと気がつきました。計測期間(輸送にかかる時間)から逆算して、記録間隔を設定しなかったために、途中で容量切れとなってしまったのです。

(記録間隔については前回の記事を参照ください)

パソコンにデータを取り込む

パソコン(G-MENアプリがインストール済のもの)とG-MEN本体をつないで、計測データを取り込みます。

アプリを立ち上げ、「測定記録データを取得」をクリック。

取得したデータは、表示されるまでに数十秒かかります。

計測データが表示されました。

グラフを見た第一印象は、「結構揺れているな~」。大きな衝撃がある箇所と、衝撃がない箇所が、パッと見てわかります。

測定記録データは、新しい測定を開始すると、削除されます。測定が開始されなければ、本体にデータが残りますが、念のため、すぐに保存することをおすすめします。

グラフの見方

グラフの左側にある「XYZ軸」とは、G-MEN本体に対し、「X軸=縦」「Y軸=横」「Z軸=上下」方向をそれぞれ示しています。

グラフ上の赤線は、G-MEN(荷物)に対して、「縦方向」に加わった衝撃

チェックボックスでX軸だけを選択した画面

緑線は、「横方向」に加わった衝撃

チェックボックスでY軸だけを選択した画面

青線は、「上下方向」に加わった衝撃

チェックボックスでZ軸だけを選択した画面

ということになります。したがって、XYZ軸にかかった衝撃の変化を見ることで、荷扱い状況が把握できるというわけなのです。

一方、グラフの右側は、「温度」と「湿度」を示しています。

グラフ下の表には、日時、衝撃値(XYZ軸)、温度、湿度が数値で表示されます。今回は、温度・湿度のデータは使わないため、チェックボックスを外し、表示されないように設定します。

日時輸送過程での通過場所(これは荷物の履歴情報などで自分で調べる)、衝撃値を照らし合わせることで、いつ どのタイミングで どれくらいの衝撃が、荷物に加わったかを、確認することができます。
※衝撃値(XYZ軸)、温度、湿度は、チェックボックスで表示の有無を設定できます。

計測結果

それでは、会社から自宅まで輸送した荷物の、計測結果を見てみましょう。

グラフ線が、横にまっすぐ伸びている状態は、対象物が静止している状態を、線が少し揺らぎながら伸びている状態は、安定的な輸送中または荷動きと考えられるため、グラフ線が大きく振れている部分、とくに落下の可能性が高いマイナス部分を中心に見ていきます。

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今回の輸送で、マイナス方向の衝撃は最大で12.7Gを記録。それが、三つの地点で発生していることがわかりました。

大きい衝撃値の簡単な発見の仕方

アプリからCSVをダウンロードして、昇順(小さい順)に並べ替えれば、マイナスの衝撃値が大きい順に表示されるので、わかりやすい。

ちなみに、12.7Gとは、この荷物(約3kg)を50cm~80cmの高さから、落下させたときにかかる衝撃と同程度です。
落下テストで、自社の荷物のNGライン(何G以上の衝撃はNGなど)を決めておくと、その数値を基準に、G-MENの計測結果を分析できるので◎

※G-MENの取り付け位置や梱包方法によって衝撃値は変わります。落下テストは、本番と同じ条件(G-MENの取り付け位置や梱包方法)で行なってください。

次に、三つの地点の日時から、通過場所(集積所など)を予測します。今回の荷物の輸送履歴は以下のとおり。(履歴情報はあとから自分で調べました)

11月16日 16:00 YT営業所

11月16日 19:48 Kベース

11月16日 23:47 Mベース

11月17日 11:36 SI営業所

12.7Gを記録した日時は以下のとおり。

①11月16日16:01頃
②11月16日23:50頃
③11月17日06:12頃

12.7Gが発生した①(11月16日16:01頃)は、YT営業所における荷扱い時、②(11月16日23:50頃)は、Mベースにおける荷扱い時に、荷物が50cm~80cmの高さから落下した可能性があることがわかりました。
③(11月17日06:12頃)だけ、詳細がわからなかったのですが、こういう場合に、GPS機能付きのG-MENが役に立つのだろうなと感じました。

(※GPS機能付きのG-MENは、付属のGPSアンテナを衛星の電波を受信しやすいところに設置する必要がありますので自社トラックの運転中の衝撃を測るときの利用に最適です)

G-MEN GP20(振動衝撃/温湿度レコーダー・GPS機能搭載モデル)
G-MEN GP100(振動衝撃/温湿度レコーダー・GPS機能搭載モデル)

予想では、もっと大きな衝撃値が出るかと思いましたが、G-MENを本の真上に取り付けたために、下方向に加わる衝撃を、本が吸収したのかもしれません。

とくに落下(マイナス方向)の衝撃値を調べたい場合は、G-MENを品物の面上ではなく、側面に取り付けたほうがよさそうです。
また、緩衝材の量が少なく、中にすき間ができてしまったため、コミック本が、縦や横に動きやすい状態だったというのも反省点のひとつです。

今回このような計測実験をしてみたことで、G-MENは荷扱い状況を調査するツールとして有効なのはもちろん、扱う荷物が、どの方向からの衝撃に弱いか(どの方向からの衝撃から守りたいか)を把握し、どのような梱包が最適かを調査するツールとしても役に立つということが実感できました。

本体の動きを3Dで確認

グラフ線のほかにも、G-MEN本体の動きが3Dで確認できる点も、荷扱い状況をイメージしやすいです。

アプリの「再生ボタン」を押すと、時系列に合わせてG-MENが動きます。

「再生ボタン」を押す

発送後、荷物がどのように扱われているのか、あまり意識したことがありませんでした。しかし、今回G-MENを使ってみて、輸送中、荷物に衝撃がかかっていることをはじめて実感しました。

ユーコのアイコン画像ユーコ
荷物が相手にきちんと届くためには、警告ラベルや緩衝材などをうまく使って、梱包を工夫することが大切だと改めて思いました。

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